なぜ医師は勉強するのか
先日、美容院で医学の教科書を読んでいたら「何かテストでもあるんですか?」と聞かれました。
自分にとって仕事の勉強をするのは日常的なことなので、他の仕事はそうではないのか、と新鮮に感じました。
ではどうして、医師は常に勉強しなければならないのでしょう。
ここで世にも危険医療の世界史(リディア・ケイン著 文藝春秋)を見てみましょう。
1921年頃、こどもたちは歯茎に歯が生える違和感を抑える薬を塗られていました。
これは当時万能薬と言われていた水銀が入っている薬でした。
水銀によりこどもたちは先端疼痛を発症し、身体中を掻きむしり、ひどく痩せ、叫び声をあげていました。
他にも瀉血が全ての病状を改善するだとか、青い光を浴びると健康になり未来が明るくなるだとか、今では考えられないような医療の歴史を目の当たりにできます。
ここまで遡らなくとも、以前なら心不全患者に使ってならなかったβブロッカーという薬が、現在では特効薬であることがわかっています。
このように、医学は完璧ではなく、常に進歩しています。
医学を享受した人類はどんどん健康になり、長生きになりました。
現時点での一番良いと思われる医療を患者さんに伝える、提案するために、医師は勉強し続けなければならないのです。
例えば、自分が医学部に入ってから勉強しなければ、提供できるのは16年前の古―い医療になってしまいます。
なので今日も、暇さえあれば医学の本を読んでいるのです。